2.心の仕組み
~ダイヤモンドはどこにあるのか~

プラスの心とマイナスの心

私たちの心は大きく二つに分かれます。「プラス」の心と「マイナス」の心です。
プラスは「愛」、マイナスは「恐怖」です。野生動物などはシンプルですから、あらゆる行動の原動力がこの「愛」か「恐怖」です。たとえば、自分の子どもを愛する気持ちから餌を捕獲したり、外敵が現れた時に恐怖心から身を守ったりするのがよい例です。

私たち人間は、「恐怖心」を克服する努力をしたりしますが、野性の動物はしません。そんなことをしたら、あっという間に天敵に襲われて、絶滅してしまうでしょう。

このように、野生の動物は本能のままに自然な心の反応に従って生きていますが、人間の心はもう少し複雑です。

人間にとって、プラスの心とは、「明るく」「前向きに」「積極的に」「夢を持って」「目標を持って」「プラス思考で」「愛と感謝の気持ちで」「素直な心で」「勇気を持って」といった言葉で表される心です。また、マイナスの心とは、「暗く」「後ろ向きに」「人を恨んで」「憎んで」「妬んで」「傲慢で」「偏屈で」「マイナス思考で」というように表現される心です。

先ほど、あなたの見ている現実があなたの心の反映であること、そして、この世界には原因と結果の法則が働いていて、あなたの心があなたの現実の原因になっていることを述べましたが、このプラスの心とマイナスの心のどちらが、すばらしい人生をあなたにもたらすでしょうか。

答えは言うまでもなく、「プラスの心」と誰もが答えるでしょう。

だからこそ、世の中にはプラスの心を学ぶ教えやトレーニング法が山ほどあり、氾濫しているのです。あなたが悩みを抱え、書店の自己啓発書や精神世界書のコーナーに目を向ければ、棚一面の本があなたに優しく、時には力強く、「明るく」「前向きに」「積極的に」「夢を持って」「目標を持って」「プラス思考で」「愛と感謝の気持ちで」「素直な心で」「勇気を持って」といった「プラス思考」を語りかけてきます。

しかし、仮にプラスの心を身に付けようと本を読み漁り、頭に叩き込んでインプットし、定着させるために反復したり、心を落ち着かせたり、自己暗示をかけたりしても、それで本当に心がプラスになり、その心の反映としてあなたが見ている世界が輝き、すばらしい人生を歩めるのでしょうか。

残念ながら、答えはNOです。
そんなことで、その人がすばらしい人生を送れるのであれば、世の中に悩みや問題を抱えた人などいないでしょう。

そして、現在、巷にあふれる既存の手法のほとんどが、このプラスの心を頭にインプットするものなのです。

このサイトは、こういった一般的に言われているような、いわゆる「プラス思考を身に付けましょう」といった内容の本ではありません。

では、なぜプラス思考が定着しないのか、なぜ頭ではわかっていてもできないのか、心の深いところに手を付けるためにも、さらに心の仕組みを見ていきます。

①心の構造Ⅰ―「頭・顕在意識」(考え方、知識、価値観)

ここまで説明してきた「心」とは、心の中でも一番浅い部分のことです。この部分は、「頭(考え方、知識、価値観)」の部分です。

私たちは「悩まないための心」とか「運をよくするための心構え」といったものは、頭ではすでになんとなく理解しているのです。当然、マイナス思考よりプラス思考がよいということは誰でも知っていますし、愛の心、感謝の心が、幸運となって返ってくるといった知識は、誰からともなく聞いて、頭ではわかっているものです。

インプットでは書き換えられない心

もし、頭でわかって理解するだけで解決するなら、世界中の大成功者や大富豪、聖者や覚者の本、教材などを買い集めて次々と頭に叩き込めばよいだけです。仮にそのことに何百万円注ぎ込んだとしても、たったそれだけで望みがかなって「最高に運のよい、すばらしい人生」が得られるのであれば安いものです。

しかし、実際はどうでしょうか。どれだけ「プラス思考で生きよう」と努力しても、ふと我に返った時、どうしてもそう思えない心が湧き上がってきてしまうのではないでしょうか。

「感謝しろと言われたって、そう思えないから仕方ないじゃない!」
「プラスに考えろ、なんてわかっちゃいるけど、こんなひどい状況では、どうしたって不安にもなるよ……」
「すべての人を愛せよったって、あいつだけはどうしても許せないし、あいつが悪いんだから、憎むのは当たり前じゃないか!」

ここにプラス思考の限界があります。
プラス思考を身に付けようとインプットする。徹底的に実践すれば、たしかにある程度プラス思考を身に付けることは可能かもしれません。本を読んだり、誰かに相談したり、どこかに話を聞きにいったり、はたまたセミナーや研修に参加して取り組めば、その直後や調子のよい時は心が晴れることもあるでしょう。

しかし、ふと力を抜いたとき「やはりだめだ」「プラスに思おうとしてもどうしてもそう思えない」といった心が自然に出てきてしまうのです。

よい教えや考えをどれだけ学んでインプットしても、それは心の一番上の部分、「頭(考え方、知識、価値観)」という頭の思考の中での話です。大多数の人々は、「頭ではわかっている」のです。

しかし、日常の現実に戻ると、思い通りにいかない出来事があれば「やはり自分はだめだ」と思う心が出てきたり、また誰か他人から気に障ることを言われれば、一瞬にして「感謝しよう」という心が吹き飛んで、「どうしてもそう思えない」心が湧き上がってきたりするのです。

インプットする前に「すでに思っていること」が問題

私たちは、この頭(考え方、知識、価値観)の部分への徹底的なインプットを、一旦止めなくてはなりません。なぜなら、これは問題解決とは正反対の方法だからです。根本的な解決方法とはやり方がまったく逆なのです。

実は、私たちの心には「思おう」とする前に、「すでに思っている心」があり、深く定着しています。

そして、もともと定着していた心ですから、後から「思おう」としてインプットした心よりも、圧倒的に強いのです。「思おう」として何度も反復して言い聞かせても、ふと力を抜いたときに、湧き上がってくるもの。それは、この「すでに思っている心」なのです。

では、この「ふと力を抜いた時に湧き上がってくる心」とは何なのでしょうか。「頭で思おうとする前に、すでに思っていた心」とはいったいどこから来るのでしょうか。

②心の構造Ⅱ―「感情・潜在意識」(感じ方)

意思とは無関係に出てくる記憶

前回、「人間は記憶でできている」と述べました。
過去の嬉しかったこと、悲しかったこと、楽しかったこと、だまされたこと、ほめられたこと、辛かったこと、痛かったことなど、無数の出来事の記憶は、すべてあなたの中に保存されているのです。いわば、細胞に刻み込まれているのです。

このような記憶は、言葉を換えれば「潜在意識」とも呼べます。また、この記憶は昔から宗教などで「業」や「カルマ」と呼ばれてきたものに相当します。日本語で「あの人は業の深い人だ」と言うことがありますが、その「業」です。

つまり、私たちの心は、地層でたとえるならば、まず「頭」という知識の層があり、その下に「感情」という潜在意識の層があるという二層構造になっているのです。

そして、この潜在意識には、普段は意識されないような過去の膨大な記憶が刻み込まれています。その記憶は、私たちの外界(心という内界に対し、目に見える外側の世界)に、その記憶が刻み込まれた時に体験したことと似たような状況が現れた時、その刺激によって引き出され、ふと頭に湧き上がってきます。

この反応は、ほとんど自動的に起こります。つまり、先に話した、ふと湧き上がってくる「すでに思っている心」は、まさにこの過去の記憶から来るのです。


今、このサイトをあなたが読んでいる瞬間も、この過去の記憶が湧き上がってきています。もし、過去に心理や精神世界についての本を読んで元気づけられたり勇気づけられたりしたことがあれば「この本も元気を与えてくれるだろう」といった思いが湧いてきます。もし、過去、心について書かれた本を読んで結局だまされたと感じたことがあれば「この本も同じではないか」といった思いが、自動的に湧いてきているはずです。

人によって皆、違う思いが今この瞬間も湧き上がってきています。今、あなたの心にどういう思いが湧いてきているか、見つめてみてください。それがまさに過去の記憶によるあなたの反応です。

そして、この記憶は、頭で自覚的に覚えている記憶より格段に力が強いのです。
ですから、潜在意識に、マイナスの記憶が多ければ、当然そのマイナスの記憶に支配された心が出来事の捉え方やそれに対する反応に表れてくるわけです。

たとえば、過去に人前で話をして失敗して大恥をかいた記憶が刻まれると、スピーチを頼まれる度にその苦い記憶がよみがえって、また失敗を繰り返す場合があります。「あがるまい、あがるまい」と自己暗示をかけたところで、過去の体験に伴って心に深く刻み込まれた心の強さにはかないません。

また、たとえば女性が若い頃に父親に強烈な恨みを持つと、一生涯、男性不信になってしまう場合もあります。

このような、過去の忌まわしい体験などの強烈な心の傷を、心理学では「トラウマ(精神的外傷)」といいます。これも潜在意識のレベルに刻み込まれた記憶だと理解できるのです。

そして、過去の記憶であるこの潜在意識が、外界(現実世界)の出来事に対するあなたの反応を決め、あなたの人生を決定しているのです。

だからこそ、この潜在意識である過去の記憶に手を付けなければ、人生の問題の根本解決は不可能なのです。

インプットの限界

「ならば、この潜在意識に強く刻み込まれるほど徹底的にプラス思考をインプットして植え付ければよいのではないか」と思われる向きもあるかもしれませんが、結局、プラスのインプットは逆効果しかもたらさないことが多いのです。

よく、潜在意識にインプットするために、精神状態を落ち着かせ、呼吸法をつかったり瞑想をしたり、また脳波の状態を、記憶に適した状態にコントロールしてから、プラス思考を何度も反復する手法がとられます。

たしかに、頭の記憶には効果的にプラス思考が刻まれるかもしれませんが、頭の中がプラス思考の塊になるだけで、過去の記憶の部分にはほとんど影響がありません。

仮にあなたが、数ヶ月にわたり一心不乱にプラス思考を何度も反復することで頭にインプットしたとします。しかし、その記憶は、あなたのこれまでの数十年の人生で刻まれた記憶、そしてさらには、先祖代々、生まれる前からも延々と引き継いでいる何千年、何億年の記憶と比較したならば、あたかも大海に垂らした一滴のインクのようなものに過ぎないのです。

インプットの弊害

また、潜在意識に刻まれた過去の記憶がマイナスばかりなのに、頭の知識ばかりがプラスになると、心の奥はマイナスのまま、頭だけがプラスという状態になります。この状態の危険性は、頭を道具にたとえるとわかります。

たとえば包丁という道具があります。包丁は、研げば研ぐほど、切れ味が鋭くなっていきます。この包丁を、愛と感謝に満たされた、プラスの心をもった人が使うと、どういう結果になるでしょうか。きっと、愛情のこもった美味しい料理、という結果につながるでしょう。

しかし、恨みや憎しみばかりのマイナスの心の人が使ったらどうでしょうか。もしかしたら、他人を傷つけるという結果になる可能性もあるのです。

どんなに良い道具でも、どういう心でそれを使うかによって、まったく違う結果になってしまうのです。

では、「プラス思考」という道具を「マイナスの心」で使うとどうなるでしょうか。
結果は「人を裁く」か「自分を裁く」という行動につながってしまいます。

「あいつらは、自分が知っているプラスの生き方をしていない。なんてレベルが低いんだ……」と他人を責めたり、「私は、こんなにすばらしい愛と感謝の教えを勉強しているのに、いつになっても結果が出ない。なんて自分は駄目なんだ……」と自分を責めたりするのです。

このことは、正反対のようですが、その性質はまったく同じです。矢印の向きが逆になっただけの話です。つまり、包丁を手にして他人を傷つけるか、自分を傷つけるか、いずれにしてもその包丁の切れ味が鋭ければ鋭いほど、マイナスの結果につながってしまうのです。

道具を使う人の心、影響力の最も強い潜在意識を変えることができなければ、プラス思考という道具を磨けば磨くほど、逆効果になってしまうわけです。

あなたはどの方法を選びますか

さて、出来事の捉え方やそれに対する反応の原因となる潜在意識に手を付けることの重要性を述べました。そして、頭にインプットして学ぶことでは、潜在意識の部分に影響を与えることはほとんど不可能に近いこともお話ししました。

では、私たちは、どのようにすれば、この潜在意識に手を付けて、過去の記憶を透明にすることができるのでしょうか。

実際、ここに手を付けようと世界中でさまざまな手法が存在し、宗教や各種心理療法などで、心の浄化が試みられてきました。

その手法の例をあげると、「過去を内観して、マイナスの記憶を、両親への感謝などをきっかけにプラスに転じる」「催眠療法などを利用して、幼少時の記憶を呼び覚まし、癒す」「過去世の記憶に原因を見つける」「心理カウンセリングや様々なセラピー、ヒーリングなどで過去のマイナスの記憶を、一枚一枚薄皮を剥ぐように取り去り、またはプラスに転じ、深い境地を目指す」というものなど、多種多様です。また、瞑想や座禅という手法もあります。

たしかに、いずれかの手法に取り組むことで心が癒されたり、忘れかけていた父母への感謝から、過去のトラウマがプラスに転じ、気分がよくなったり、心が洗練されたりと、その時は絶大な効果を感じられる場合もあります。

しかし、これらの手法は対症療法的な要素が多く、時間がたつと、また別のマイナスの心に支配されたりして、その場限りで終わるパターンが少なくないようです。

これら一つ一つの手法は、ちょうど真っ暗闇の広い部屋を懐中電灯で照らそうとしているようなものです。こちらを照らせば、あちらが暗く、あちらを照らそうと向きを変えると、今度はこちらが暗くなる、ということの連続で、その場しのぎなのです。

では、どうすればよいのでしょうか。
懐中電灯ではなく、スイッチひとつで暗闇を消し去る天井の照明のようなものがあったとしたらどうでしょうか。


もし、人間の心が頭と潜在意識の二層だけだったとしたら、人間として生まれたことは悲劇だったかもしれません。
しかし、二層構造になっているあなたの「頭」、そして「潜在意識」のさらに奥、心の一番奥にまったく別の心が存在しているのです。

③心の構造Ⅲ―「本当の自分・生命意識」(円満完全な自分)

実は私たちの心のさらに奥深くにはもう一つの層があるのです。つまり、心は三層構造になっているのです。そして、この一番深いところにある三層目の心、「頭」でも「感情」でもないものが、あなたの内なるダイヤモンドのような「円満完全な自分」であり、諸問題を解決するカギなのです。

「円満完全な自分」の呼び名

私は、最も奥にあるこの心を「円満完全な自分」、「本当の自分」つまり、「真」なる「我」ということで「真我(しんが)」と呼んでいます。

「円満完全な自分」は「愛そのもの」の心と言ってもよいですし、「喜びそのもの」「感謝そのもの」、また「生命意識」と言ってもよいですし、「内なる宇宙の心」とも言えます。完璧で完全な何ひとつ迷ってないすばらしい心です。第一章で「人間は記憶でできている」と言いましたが、この「円満完全な自分」は宇宙の記憶とも言えます。

実際、「円満完全な自分」の心は、古くから多くの言葉で呼ばれています。「仏性」でも「実相」でも「光そのもの」でも、あなたはどう呼んでもよいのです。

そして、この奥底にすでにある「円満完全な自分」が本当のあなた、オリジナルのあなた、後から付け加えたのではない、あなたの本体なのです。

このサイトでは、あなたの心の一番奥にある自分を「本当の自分」と言ったり「円満完全な自分」と言ったりしますが、意味は同じです。この「円満完全な自分」が、あなたの内なるダイヤモンドなのです。

この「円満完全な自分」があなたの心のもっとも深い部分に、「すでに」存在しています。今までも存在したし、これからも存在しつづけます。

もちろん、今、この本のこの文章を読んでいる瞬間にも、間違いなくそこに存在しており、どんな人の心の奥にも共通して存在しているのです。完全で完璧で、何ひとつ迷っていない心、すでに愛している、すでに喜んでいる、すでに感謝している心。全体の心、ひとつの心です。

この「円満完全な自分」については、そういう自分がいる、と言われても、今の段階では実感もなく、理解し難いことでしょう。

たとえるならば、生まれてからずっと空が曇っており、雨が降っていたとしたら、その雲の上に常に太陽が存在し、光輝いていると言われても信じられないようなものです。

ダイヤモンドの原石も、何も知らない人が見れば単なる石ころ、汚い岩に見えるでしょう。しかし、その奥には、光り輝くダイヤモンドが間違いなくすでに存在しているのです。

インプットではなく、アウトプットする

「円満完全な自分」は後から、外から付け加えるような思想でも教えでもありません。「円満完全な自分」はあなたのもっとも深い心にあるダイヤモンド、本音中の本音の心なのです。外から入れる教えでも考え方でも思想でもないのですから、当然何かをインプットする必要は一切なく、ただアウトプット、つまり引き出せばよいのです。

そして、「円満完全な自分」である「円満完全な自分」に出会い、引き出すには、ちょうど石油や温泉を掘り当てるがごとく、三層構造になっている心をボーリングするように掘り進めていきます。奥底に潜むダイヤモンドめがけて掘り進めて行くのです。

そして最後のひと堀を「トンッ」と突いたら、一瞬で石油や温泉が湧き上がるように、輝くダイヤモンドの光があふれ出し、瞬時に全身が、「愛そのもの」「喜びそのもの」「感謝そのもの」の心、いえ、言葉の表現をはるかに上回るすばらしい「円満完全な自分」の心で満たされます。魂の底から「円満完全な自分」を体感できるのです。理解ではなく、体感するのです。

潜在意識を闇にたとえたら、「円満完全な自分」は光です。真っ暗闇の部屋に電気をつけるように、「円満完全な自分」という光が闇を一瞬で光に変えます。たとえ昨日できた暗闇だろうが、一億年前からある暗闇だろうが、光を当てれば闇は一瞬で消えるのです。
 
潜在意識をただの石ころとすれば、外からインプットして入れたよい教えは、まったくのイミテーション、つまり「作り物のダイヤモンド」のようなものです。しかし本物のダイヤモンド、すなわち本物のプラス思考、積極思考、愛、喜び、そして感謝を、あなたはもともと知っているのです。知っているどころか、あなたの本体がその心なのです。

もともと在(あ)る自分に戻るだけです。気づくだけなのです。
もともと在るのですから、学ぶのではなく、出すだけでよいのです。
あなたの内に眠るまさに光輝く本物のダイヤモンドを見つけるだけでよいのです。

「プラス思考」「積極思考」「愛」「感謝」と言葉にすれば同じですが、頭で理解するのと、全身で体感して気づくのとでは天と地ほどの差があるのです。精神世界の本を読めば「人は宇宙そのものである」という教えもたくさんあります。しかし、それを頭で理解したからといって、そのことを本当にわかったとはいえません。実際に「宇宙そのもの」を体感して初めて、真理の自覚へ至ったと言えるのです。

あなたの現実はどう変化するか

あなたの見ている現実は、あなたの心の反映であると第一章で述べました。今、この「円満完全な自分」の心があふれんばかりに出てきたら、あなたの現実がどう変化するか想像できますか。

あなたの内にある「愛そのもの」「喜びそのもの」「感謝そのもの」の「円満完全な自分」、完全で完璧な「本当の自分」を全身で体感したとき、あなたの心が一瞬にして変わります。

もし、あなたが今、無気力でやる気が出ない状況にあれば、仕事の意味を見出し、あなたの能力を開花させ、心から楽しんでその仕事に取り組めるようになります。また、全体から見て、あなたのすべきことが明確になり、導かれるようにやりがいのある仕事、本当の天職に導かれます。

もし、あなたが、何かの問題を抱えて目の前の壁に行き詰まり、どうにもならない状況にあるとしても、複雑にからみあい、もつれた糸がパラパラとほぐれていくように解決していきます。仕事や経済面であれ、人間関係であれ、家庭・夫婦・男女関係であれ、健康面であれ、問題の種類は問いません。

なぜ、問題の種類を問わないのか。
それは、何かを問題として捉えて悩んでいるのもあなたの心であり、実際に問題を引き起こしている原因もあなたの心だからです。つまり、心が変われば、捉え方が変わり、そのことで現実が本当に変わっていくのです。

このことを、私は33年間にわたり、50万人以上の人々の実例を見ながら確かめてきました。どこかで学んだり、勉強したりしたのではなく、人がすばらしく変化していく姿を現場で見てきたのです。
 
では、私たちは、ダイヤモンドのように光り輝く「円満完全な自分」である「円満完全な自分」を確実に体感し、現実生活に生かすために、いったいどうすればよいのか。次章では、心を掘り進め、「円満完全な自分」を引き出す手法について、お話しします。